タクシー乗務員とおばあちゃん

仕事の帰り道、いつもの道を帰っていると、とぼとぼと歩くおばあちゃんがいました。おばあちゃんの足取りはおぼつかない感じで、ヨロヨロと、電柱にもたれかかったりしながら歩いていました。
私は思わず
「大丈夫ですか」
と声をかけました。
すると、おばあちゃんは
「家がわからなくなっちゃった。家に帰りたいの」
と言いました。住所を聞くと、東北の方から来たというのです。足取りもおぼつかないので近くの交番まで歩くのも難しそうです。おばあちゃんの持っているものには、住所の手がかりになるものがなく、お金も全く持っていませんでした。
どうしたらよいか、と途方に暮れていると、ちょうどそこにタクシーが通りがかり、私達に気づいたのか、止まってくれました。
私達はタクシーに乗り、タクシー乗務員に、経緯を話しました。
すると、タクシー乗務員は、
「大丈夫ですよ。このあたりではみんな知っているおばあちゃんですよ。ご自宅も近いので、お送りしますね。」
と言ってくださったのです。以前にも同じようなことがあったのだそうです。お金をお支払いしようとしましたが、それもいらない、とタクシー乗務員。私はホッとして、お礼を言いタクシーから降りました。